モチーフ
石敢當(泰山石敢當)
- 石敢當
- 泰山石敢當
- 石碑公
「石敢當」「泰山石敢當」などの字を刻んだ石で、道が突き当たる家の門・巷口・橋などに立てて不祥や鬼を防ぐもの。研究所が参照した澎湖の調査研究による。
資料の記述
陳耀郎の修士論文(2011)は、前漢の史游『急就篇』に姓名の例として「石敢當」が出て、唐の顔師古の注が「敢當」を向かうところ敵なしの意と解することを引き、石敢當という名は漢代にはすでにあったとする。
この記述の範囲: 論文の引用による(『急就篇』の本文は今回見ていない)
- 澎湖石敢當信仰之調查研究 紙面 19–20 頁(第二章第一節「一、「石敢當」的源起」)
陳耀郎の石敢當の論文は、南宋の王象之『輿地紀勝』の記事として、慶暦年間に莆田の県庁を建て直したとき唐の大暦五年の石銘が出て、そこに「石敢當」が百の鬼を鎮め災いを抑えるとあったこと、今の人も家の門に石敢當の三字を書いた石を立てることを引き、刻石は唐に始まり宋に門に立てる風俗になったと判断する。
この記述の範囲: 論文の引用と判断(『輿地紀勝』の本文は今回見ていない)
- 澎湖石敢當信仰之調查研究 紙面 20–21 頁(第二章第一節「一、石敢當的源起」後半)
陳耀郎の石敢當の論文は『繪圖魯班經』の「凡そ巷道の来り衝く者あらば此の石敢當を用う」という規定を引き、住宅の石敢當の目的は、巷道からまっすぐ突っ込んでくる不祥を防ぐ(路沖を防ぐ)ことだと説明し、澎湖の古老たちも丁字路の突き当たり(路沖)やY字路の股(路箭)に建つ家は事故が起こりやすいと考えていると書く。
この記述の範囲: 澎湖の聞き取りと論文の引用(『繪圖魯班經』の本文は今回見ていない)
- 澎湖石敢當信仰之調查研究 紙面 72 頁(第三章第三節、住宅石敢當)
陳耀郎の石敢當の論文は、姜子牙が封神のとき自分の神位を忘れ、死後に周の武王が彼を「泰山石敢當」に封じて鬼門関の道を守らせたという伝説を紹介し、台湾の三重や澎湖の鎖港には姜太公と石敢當を同じ碑に書いた例があると書く。
この記述の範囲: 論文が紹介する伝説(論文は、玉皇大帝が姜子牙を瓦老爺に封じたという別の説も並べる)と、論文の現地調査(臺北縣三重區・澎湖の鎖港里)
- 澎湖石敢當信仰之調查研究 紙面 21 頁(「石敢當的傳說與神話」冒頭)と 25–26 頁(「神仙傳說 1.姜子牙封神」)
陳耀郎の石敢當の論文は、魏晋以後に泰山が死者の魂の帰る所・鬼を治める府とされたことを『後漢書』烏桓伝・『博物志』・『三国志』管輅伝の文で示し、「泰山石敢當」の字は「泰山が鬼を治める」考えと石敢當の辟邪の考えを合わせたものだと論じる。
この記述の範囲: 論文の解釈(引く古典の本文は今回見ていない)
- 澎湖石敢當信仰之調查研究 紙面 27–28 頁(「(二) 泰山信仰」)
陳耀郎の石敢當の論文の調査では、新北市三重の石敢當廟について元里長が、その場所はもと墓地で鬼が多く、地区が落ち着かなかったので地理師に見てもらって碑を立てた、祖父から約250年前のことと聞いた、と語っている。
この記述の範囲: 臺北縣三重區(いまの新北市三重区)重陽路の石敢當(聞き取り)
- 澎湖石敢當信仰之調查研究 紙面 38 頁(第二章第二節、臺北縣の石敢當)と附録 3-12 の聞き取り記録(紙面 203–204 頁、張忠慶)
陳耀郎の石敢當の論文は、新北市新莊の自転車店の前の石敢當が署立三重医院の方を向いていることから、医院の周りをさまよう孤魂野鬼(好兄弟)が店にまっすぐ突っ込んでくるのを防ぐためのものだろうと推し量る。
この記述の範囲: 臺北縣新莊區(いまの新北市新荘区)思源路の石敢當(著者の推測)
- 澎湖石敢當信仰之調查研究 紙面 40 頁(第二章第二節)
陳耀郎の石敢當の論文は、住宅の石敢當を、淡水の張家や澎湖南部では朔望に、澎湖の湖西鄉湖東村では除夕・清明・端午・七月半に拝む例を挙げて、人々が石敢當を神と見ていたとし、七月半に好兄弟を拝むときに石敢當も一緒に拝むのは、好兄弟が出てきて供物を食べる前に石敢當にも腹ごしらえをしてもらい、家に入り込ませない力をつけてもらうためかもしれないと推し量る。
この記述の範囲: 澎湖と淡水の住宅の石敢當(聞き取りと著者の推測)
- 澎湖石敢當信仰之調查研究 紙面 76–77 頁(第三章第三節、住宅石敢當の祭拝)
陳耀郎の石敢當の論文が記す澎湖の馬公市重光里の古老の話では、ある家が地理師の勧めで里の地形の「龍の喉」にあたる所に死者を葬ったところ、翌日から鶏が鳴かず犬が吠えず井戸も涸れたので、廟の法師の指示で符を描いた鉄の尺を墓に挿して煞を破ると翌日には鶏や犬がまた鳴くようになり、のちに神明の指示で、いまの石敢當の位置に石敢當を立ててその煞を鎮めた、それが昭和10年(1935)だという。
この記述の範囲: 澎湖・馬公市重光里の石敢當(古老の口述)
- 澎湖石敢當信仰之調查研究 紙面 79 頁(第三章第三節、聚落石敢當)