話
屍變(螢窗異草)
『螢窗異草』二編卷二の一話。屍が起きると言って高い礼金を求めた陰陽家(日や方位を占う術者)に代わり、風水を見る貧しい男が碗の札と朱砂で起き上がる屍を倒すと、屍の最後の叫びと同じ言葉を叫んで陰陽家が死ぬ。
資料の記述
屍變(螢窗異草)は螢窗異草に現れる。『螢窗異草』二編卷二「屍變」は、涿郡に妖しい術にたけた陰陽家(日や方位を占う術者)がいて、村の金持ちが死ぬと必ず多額の礼金で招かれ、招かなければ禍が起こるとされていた、と書き出す。ある金持ちの老人が死ぬと、息子たちは礼金を持って頼みに行くが、陰陽家は少ないと突き返し、百両、のちには三百両を求めた。陰陽家は、死んだ時刻から見て今夜の真夜中前後に屍が起き上がるので、高い礼金で鎮めてやるのだ、と言った。
この記述の範囲: 『螢窗異草』二編卷二「屍變」の前半
- 螢窗異草 二編卷二 二編卷二「屍變」第一段
「屍變」で代わりに招かれたのは、風水を見る仕事をしながら陰陽家に押されて腕をふるえずにいた、身なりのみすぼらしい男だった。男は、並でない人に出会って術を得たと言い、黒い碗三つに朱砂で蛇のような札を書き、上着を脱いで髪を振り乱し、はだしで梁に登って待った。夜更けに屍が起き上がるたびに碗を投げ、屍は三度倒れたが、しばらくすると前より荒々しく起き上がって歩き出し、梁の下から跳びかかった。男は腰に残した朱砂を口に含み、舌を噛んで血とまぜて吹きかけると、屍は倒れ、恨みもないのになぜ私を殺すのかと叫んで声が絶えた。
この記述の範囲: 『螢窗異草』二編卷二「屍變」の中ほど
- 螢窗異草 二編卷二 二編卷二「屍變」第二〜三段
「屍變」の結びでは、夜が明けて人をやって陰陽家の家を探らせると、陰陽家は、来るはずの使いが来ないので仕返しをすると言って寝たあと、夜明け前に屍が叫んだのと同じ言葉を叫んで息絶えていた。のちに陰陽家の子が、術で父を殺したと官に訴えたが、官は取り上げなかった。陰陽家の家は一年もたたずに妻と子の身持ちが崩れて財を失い、代わりの男はこれで名が郡に響き、富んだ。評は、死者に何事も無いのに財をゆすろうとした陰陽家の欲の深さを責める。
この記述の範囲: 『螢窗異草』二編卷二「屍變」の結びと評
- 螢窗異草 二編卷二 二編卷二「屍變」第四段と外史氏の評