人・神・怪異など
童乩
台湾の民間信仰で、神を体に乗り移らせて神の言葉を伝える霊媒。連橫の『臺灣通史』は乩童(童乩と同じ語)を、裸で髪を振り乱し、舌を切り背を刺して血を流しても、神が乗り移っているので痛がらない者として書く。
資料の記述
童乩は台湾に見られる。西拉雅族の女性祭司(尪姨)信仰が途絶えた集落では、漢人民間信仰の法師や乩童がその代わりを務めるようになったとされる
この記述の範囲: 國立臺灣歷史博物館『臺灣女人』サイトの記述
- 一具軀殼.兩個靈魂─阿立祖的代理人「尪姨」 本文末尾に近い段落
連橫『臺灣通史』卷二十二の宗教志は、台湾の巫覡(神や霊と人の間をとりもつ者)を五つに分け、その四つ目に乩童を挙げる。乩童は裸で髪を振り乱し、跳び上がっては身をかがめ、中風のような様子になり、舌を切り背を刺して血を流しても、神が乗り移っているので傷を痛がらない、と書く。
この記述の範囲: 『臺灣通史』卷二十二 宗教志「道教」の節。著者の連橫は、巫覡を道教の末流として批判する立場で書く
- 臺灣通史 卷二十二 宗教志 卷22 宗教志「道教」の節、「臺灣巫覡凡有數種」で始まる段の四つ目
教育部の臺灣台語常用詞辭典は、台湾語で tâng-ki と読む「童乩」を乩童と同じ語とし、人のために神に願って占う者、民間の宗教の法事で神を体に乗り移らせて神の言葉を伝える者と説明する。用例には、神が乗り移ることを言う「起童」「上童」、神が離れることを言う「退童」があり、上童した童乩は呪文を唱えながら符を書く、退童したあとは全身の力が抜ける、という例文が載る。
この記述の範囲: 教育部臺灣台語常用詞辭典の詞目「童乩」と、同じ辞典の用例の検索結果
- 童乩(臺灣台語常用詞辭典の詞目) 詞目「童乩」の釈義
- 童乩(臺灣台語常用詞辭典の詞目) 同じ辞典で華語の「乩童」から用例を引いた検索結果(起童・上童・退童の詞目の用例)
劉枝萬(2006)は、台湾の民間信仰の担い手を三つの層に分け、道教の道士を上、法教(法師が道教になぞらえて付けた名の流派)の法師(紅い布を頭に巻き、病を治し邪を祓う者)を中とし、男の童乩と女の尫姨(女の霊媒)を含む霊媒をいちばん下の層に置く。また、福建・浙江の沿海で神を降ろす女の巫は台湾の女の童乩にあたるとし、台湾の法師がまれに霊媒のようなことをするのは近年の崩れた姿で、法師の本来の姿ではないと述べる。
この記述の範囲: 劉枝萬「臺灣之法教」(『臺灣文獻』57巻3号、2006年)の分類と見方