話
兩僵屍野合
『子不語』卷十二の一話で、旅の壮士が、夜に古い墓から出た僵屍と、楼に置かれた柩の女の僵屍とが会うのを見る。唐巾(頭巾の一種)をかぶった屍は、楼の窓から紅い衣の女が垂らした白い練絹で引き上げられた。壮士が墓の棺の蓋を隠すと、戻った屍はうろたえ、鶏が鳴くと道ばたに倒れた。翌朝、その楼は周氏の祠堂で、柩が一つ置かれ、女の僵屍が棺の外に倒れていたので、人々は二つの屍を一緒に焼いた。
資料の記述
キョンシー(僵屍・殭屍)は兩僵屍野合に現れる。『子不語』卷十二「兩僵屍野合」では、古い寺に泊まった壮士が、唐巾をかぶってふわりと来て古墓に入るものを見て、僵屍だと知る
この記述の範囲: 『子不語』卷十二「兩僵屍野合」
- 子不語 卷12 子不語 卷12「兩僵屍野合」第1段
「兩僵屍野合」では、夜に墓から出た屍を、大きな家の楼の窓から紅い衣の婦人が白い練絹を垂らして引き上げ、翌朝、その楼は周氏の祠堂で柩が一つ置かれ、女の僵屍が棺の外に臥していたので、人々は二つの屍を一緒に焼いた
この記述の範囲: 『子不語』卷十二「兩僵屍野合」
- 子不語 卷12 子不語 卷12「兩僵屍野合」第2・3段
「兩僵屍野合」で、湖広に旅して古い寺に一人で住む壮士は、僵屍は棺の蓋を失うと祟りをなせないと聞いていたので、次の夜、屍が出かけたすきに墓の棺の蓋を盗んで隠す。夜明け前に戻った屍は蓋が無いのに慌て、長く探し回ったあと楼の下へ駆け戻って、跳ねながら鳴き声を上げ、楼の上の女も鳴き声で応えて手を振って拒んだ。そこへ鶏が鳴き、屍は道ばたに倒れた。
この記述の範囲: 『子不語』卷十二「兩僵屍野合」の第1段・第2段(維基文庫の翻刻)
- 子不語 卷12 卷十二「兩僵屍野合」第1段と第2段
馮藝超(2007)は、『子不語』正続の僵屍が恐れるものの一つに、棺の蓋を失うことと棺に瓦や石を詰められることを挙げ、「兩僵屍野合」を例に引く。僵屍は出歩いたあと夜明け前に棺へ戻らねばならず、蓋を失った棺は僵屍を守れないので蓋が大事なのだとし、壮士が「かねて聞いていた」とあることから、この恐れは人々にすでによく知られていたと読む。
この記述の範囲: 馮藝超「《子不語》正、續二書中僵屍故事初探」(『東華漢學』第6期、2007年)の整理と解釈
- 《子不語》正、續二書中僵屍故事初探 頁213、項目「怕失棺上蓋或棺中填滿瓦石」
馮藝超(2007)は、『子不語』正続で女の僵屍が出る話は七、八篇しかなく、そのうち「兩僵屍野合」「皂莢下二鬼」「鬼吹頭彎」の女の僵屍はみな紅い衣を着ているが、顔かたちはほとんど書かれていないとする。また「兩僵屍野合」を、僵屍どうしも情欲から離れられないことを示す話として挙げる。
この記述の範囲: 馮藝超(2007)の、『子不語』正続の僵屍の話の整理
- 《子不語》正、續二書中僵屍故事初探 頁206、女の僵屍を述べる段
- 《子不語》正、續二書中僵屍故事初探 第六節(僵屍の話に見える感情)の(一)の末尾、頁218