人・神・怪異など
紅頭法師・紅頭道士
頭に紅い布・帽子を用いる台湾の民間宗教の担い手。資料により『法師』(道士とは別の階層)とされる場合と、道士の一分派(正一派の紅頭道士)とされる場合とがある(研究所が参照した資料の範囲)。
資料の記述
紅頭(紅布を頭に巻く扮装)で治病・駆邪を行う存在とされ、道士より地位が低い民間信仰の主役とされる
この記述の範囲: 劉枝萬論文の位階表(道士>法師>童乩・尪姨)
- 臺灣之法教 一、前言の分類表および直後の説明(頁1633-1634)
法教の主流は福州発祥の三奶教(開祖は唐代の女巫・陳靖姑)で、紅頭の由来を陳靖姑にまつわる説話(難産で流血して没した、法器の龍角に紅点があるなど)に結びつける伝承が記されている
この記述の範囲: 劉枝萬論文が紹介する伝承(『相傳』と明記)
- 臺灣之法教 三、教派(頁1635)
紅頭法師・紅頭道士は台湾に見られる。北部・東部は三奶教、西南部は閭山教(実質は法主公教)、澎湖は普庵教、南部に徐甲教、澎湖に嘛呢教が分布するとされる
この記述の範囲: 劉枝萬論文の分布記述
- 臺灣之法教 四、巫術末尾の分布記述(頁1637)
福建・浙江の女巫集団に由来する法統だが台湾に伝わった後は男性の法師(男覡)に変容したとされ、その男性法師が稀に霊媒的な行為をすることがあるのは近年の走様現象であって法師本来の姿ではないとされる
この記述の範囲: 劉枝萬論文の結語
- 臺灣之法教 五、結語(頁1638)
正一派から生まれた存在で『法師』と呼ばれ、頭に紅い帽子・頭巾を用い祝壽廟會慶典・安斗・安太歲・安公媽など吉慶の法事を担うとされる
この記述の範囲: 自由時報記事の分類(劉枝萬論文の『法師』という位置づけとは異なる)
- 科儀不同 法師分喜喪 本文全体(短文)
紅頭法師・紅頭道士は台湾に見られる。基隆の廟壇「雷成壇」は紅頭道士を称し、頭に紅巾を結んで建醮・謝平安などの吉慶科儀のほか収魂・補運・解籤なども行うとされる
この記述の範囲: 台灣光華雜誌の取材記事(第六代李銘峻への取材)
- 科儀的流傳,人心的陪伴──淺談道士 記事全体
蕭登福は、福建の閭山派の法師は紅い頭帔に頭牌を付け、長い裙をはき、龍角・鈴刀・蛇索・長劍を持つとし、澎湖の普庵派も同じで閭山に属すとし、鈴木のいう紅頭法師も閭山法師にあたるとする
この記述の範囲: 福建・澎湖・台湾の閭山派法師(蕭登福の整理、2021)
- 台灣當今的道教宗派──兼論紅頭烏頭、道法二門(上) 頁 8 左段「福建閭山派的法師,頭戴紅色頭帔」から段の終わりまで
蕭登福は、鈴木清一郎が紅頭法師と呼んだものは閭山派の法師だとするが、謝宗榮は台湾の民間の区分として紅頭を「正一派」の道士の系統、烏頭を「靈寶派」の道士の系統と書く。紅頭を法師(閭山)とみるか、正一派の道士とみるかが資料で分かれる
この記述の範囲: 台湾の紅頭の位置づけ(蕭登福 2021 と謝宗榮の二つの資料の比較)
- 台灣當今的道教宗派──兼論紅頭烏頭、道法二門(上) 頁 8 左段の終わり「鈴木所說的紅頭法師,也應屬於閭山法師」
- 臺灣道教科儀與庶民生活 頁 11 中段「以紅頭系統的『正一派』來說」「而烏頭系統的『靈寶派』道士方面」
謝宗榮は、紅頭の系統の正一派の日常の仕事を、民衆のための祭解・補運・通疏文などの小さな駆邪・祈福の儀式と五術の業務とし、臨時・年例では宮廟や集落のために祈安三獻・建醮・禮斗・慶成・出煞などの法会を行うと書く
この記述の範囲: 台湾の紅頭(正一派)(謝宗榮の概説)
- 臺灣道教科儀與庶民生活 頁 11 中段「以紅頭系統的『正一派』來說」の段
丁仁傑の導論が引く劉枝萬(1967)は、1963年の臺北松山の建醮を主宰した道士何鏗然(1898年生、原籍は福建漳州府平和縣)を天師派で三奶派も兼ねる「紅頭師公」とし、喪事には関わらないと記し、台湾北部の天師派の紅頭師公は漳州に由来する林厝派と劉厝派に分かれ、林厝派は嘉慶末から道光初めに詔安縣から一人で渡った林章貴(法號演達)に始まるとする。
この記述の範囲: 台湾北部の紅頭師公(劉枝萬 1967 の引用)
- 導論(『道教復興與當代社會生活』) 導論 紙面5〜6頁(PDF 13〜14頁)の劉枝萬(1967:48-49)の引用
紅頭法師・紅頭道士は臺灣通史に現れる。『臺灣通史』卷二十二 宗教志は、台湾の巫覡(まじないの職能者)を数種に分け、その二つ目の「法師」を、人とも道士ともつかず、紅い帕(頭巾)に白い裳をつけ、禹步(星の形に見立てて足を運ぶ歩き方)で法を行い、真言を唱え、蛇の形の縄を手にし、鼎の油を沸かして邪を払えるという者、と書く。
この記述の範囲: 『臺灣通史』卷二十二 宗教志「道教」の節の後半。連橫は「紅帕白裳」と書き、「紅頭」の語は使わない。紅頭法師とみなすのは、頭に紅布を巻くとする劉枝萬の記述との対応による
- 臺灣通史 卷二十二 宗教志 卷22 宗教志「道教」の節、「臺灣巫覡凡有數種」で始まる段