モチーフ
孝杖・哭喪棒
- 孝杖
- hà-thn̄g
- 哭喪棒
哭喪棒は、出殯(棺を家から送り出すこと)のときに孝子(親を亡くした子)が持つ竹の棒である(萌典)。教育部の台語辞典は、孝杖を、出殯のときに孝子が手に持つ杖と説明する。古い礼の書の『禮記』問喪は、父の喪には竹、母の喪には桐の杖を用い、悲しみで弱った体を支えるためのものだとし、父が生きているあいだは、母の喪でも杖をつかないとする。
資料の記述
萌典は「哭喪棒」を喪家の出殯のとき孝子が持つ竹の棒とし、教育部の台語辞典は「孝杖」(hà-thn̄g)を出殯のとき孝子が手に持つ杖とする
『禮記』問喪は、喪の杖について問答の形で、父の喪には苴杖(黒ずんだ竹の杖)、母の喪には削杖(桐を削った杖)を用い、竹も桐も杖としては同じだと答える。杖を持つのは、親を亡くした子が数えきれないほど泣き、三年のあいだ喪に勤めて体が病み弱るので、杖で体を支えるためだとし、父が生きているあいだは母の喪でも杖をつかず、堂の上でも杖をつかないのは、目上の人がいる所を避けるからだ、と書く。
この記述の範囲: 『禮記』問喪の後半の二つの問答(維基文庫の翻刻)
- 禮記 問喪 禮記 問喪、「或問曰:杖者何也」と「杖者以何爲也」の二つの問答
孝杖・哭喪棒は儀禮に現れる。『儀禮』喪服第十一は、いちばん重い喪服の斬衰(裾を縫わない粗い麻の服)を着る者の持ち物に苴杖(黒ずんだ竹の杖)を挙げ、次に重い疏衰(目の粗い麻の喪服)で三年や一年服する者には削杖(桐の杖)を挙げる。同じ一年の喪でも、祖父母や伯父・叔父のためなどの場合は「杖をつかない」とし、杖の有無で喪の重さを分けている。
この記述の範囲: 『儀禮』喪服第十一の冒頭の四段(維基文庫の翻刻。経文だけ)
- 儀禮 喪服第十一 儀禮 喪服第十一、冒頭の「斬衰裳,苴絰杖」の段から「不杖,麻屨者」の段まで
孝杖・哭喪棒は西遊記 第二十七回に現れる。『西遊記』第二十七回では、白骨の妖が化けた人を孫悟空が三度打ち殺したと怒った唐僧が、町なかで「その哭喪棒」を振り回して見境なく人を打てば大変なことになると、悟空の如意棒を葬式の杖の名で呼んで責め、悟空を追い返そうとする。
この記述の範囲: 『西遊記』第二十七回の唐僧の台詞(維基文庫の翻刻)。棒をけなす言い方で、葬式の場面ではない
- 西遊記/第027回(屍魔三戲唐三藏 聖僧恨逐美猴王) 西遊記 第027回、唐僧が悟空を追い返そうとする台詞(「你拿了那哭喪棒」の文)