モチーフ
紙錢(冥紙・銀紙・買路錢)
- 紙錢
- 冥紙
- 冥錢
- 楮錢
- 銀紙
- 買路錢
死者や鬼神に供える紙の銭。焼いて供えるもの、葬列の道すがら撒く・置くものがある(研究所が参照した資料の範囲)。
資料の記述
萌典は「買路錢」の第一の意味を、かつて出喪のとき道すがら投げた紙錢とし、『俗語考原』から柩の行く道の前に金銀の紙錢を投げるという用例を引く。第二の意味は、盗賊が通行人を止めて取る通行料とし、『京本通俗小說』「錯斬崔寧」と明の賈仲名『昇仙夢』を引く
萌典の「紙錢」「冥紙」「冥錢」「楮錢」の語釈は、いずれも焼いて死者(または鬼神)に使わせる・供えるものとして説明しており、道に撒くことには触れない
萌典は「銀紙」を、祖先や先人、陰の鬼を祀るときに焼く冥紙とし、大銀と小銀に分け、大銀は先祖の忌日や人が死んだとき、小銀は普渡や先祖・陰鬼の祭りに用い、黄色の粗い紙の中央に錫箔を貼り、煮た金薬を刷き、図柄を彫った木印を押して作ると記す
出殯(棺を墓所へ送り出す行列)は紙錢(冥紙・銀紙・買路錢)に関わる。蘭陽博物館の電子報は、宜蘭の出殯の行列の順番を挙げる中で、太鼓・笛の後に「放紙」を置き、道の野の魂が騒がないよう紙錢を投げ与えるものだと説明する
この記述の範囲: 台湾・宜蘭地域
- 事死如事生~漫談宜蘭地區的喪葬儀式(上)(下) (下)「4. 出殯」の段
中国文化大学の修士論文は、台湾の喪葬の「接板」(棺を買って家へ運ぶ)の段で、棺を運ぶ途中に橋や十字路を通るとき銀紙と赤い布一条を置くことを「放紙」と呼ぶと記す
この記述の範囲: 台湾(論文が黃文博 2000・李秀娥 2006 に拠って、過去に広く行われたとして挙げる殯葬儀式の項目)
- 台灣殯葬儀式之時空演變 紙面 58 頁(PDF 68 頁)、項目 20「接板」
紙錢(冥紙・銀紙・買路錢)は帰葬(歸櫬・運棺・原籍安葬)に現れる。『清稗類鈔』迷信類の「裘文達為水神」の条は、裘曰修の死後、妻の熊夫人が柩を江西へ運ぶ途中、燕子磯の関帝廟でおみくじを引き、遺言どおりの籤が出たので、一家は大いに泣き、江を覆うほど紙錢を焼き、廟に木主を立てたと記す
この記述の範囲: 『清稗類鈔』迷信類「裘文達為水神」
- 清稗類鈔(迷信類二) 清稗類鈔 085(迷信類)「裘文達為水神」の条
『清稗類鈔』喪祭類の「送羹飯」の条は、呉越の人は病人が出ると、酒一盂・飯一罇・紙錢数串に衣包と雨傘を添えて東南の方へ送り、これを送羹飯と呼んだと記す
この記述の範囲: 呉越(『清稗類鈔』喪祭類「送羹飯」)
- 清稗類鈔(喪祭類) 清稗類鈔 068(喪祭類)「送羹飯」の条
華琛(Watson)は、明清期の喪葬の標準の動作の一つとして、食べ物・金銭・物を生者の世界から死者の世界へ渡すことを挙げ、紙錢と紙紮(家・家具・召使い・車など)は焼くことで死者に渡され、紙錢と香は死者に供える基本の品だと述べる
- 中國喪葬儀式的結構:基本形態、儀式次序、動作的首要性 頁108(PDF 11 頁)、動作 (4)
中国文化大学の修士論文が『台灣私法』から引く官員の喪礼の段取りでは、初祭に、公・侯・伯から一品〜七品官まで身分ごとに筵席・羊と「楮」(紙の銭)の数を定め(民公は四万、六・七品官は一万など)、祭が終わると衣服と楮幣を燎所へ送って焼くとされる
この記述の範囲: 論文が引く『台灣私法』の官員の喪礼
- 台灣殯葬儀式之時空演變 紙面 26 頁(PDF 36 頁)冒頭、「(七) 初祭、大祭」の続き
荣成市の民俗の頁は、ふつうの家の葬列では幡を掲げる者・香紙の盆を持つ者・浆水の罐を提げる者が先に立ち、ときどき道端に紙銭を撒き浆水を注ぐ、これを「路銭」と呼び、野鬼や遊魂が行く手を阻むのを防ぐためだと説明する。
この記述の範囲: 山東省荣成の旧い葬送の習い(頁の書く範囲)
- 荣成民俗 丧葬礼俗 「行灵」の段の後半(「寻常百姓则比较简单」以下)
高雄市殯葬管理處の置く喪礼の説明は、出殯の行列の順を挙げ、地理師の轎、路鼓に次ぐ三番目に「獻紙錢」を置き、紙銭を路上の野魂に投げ与えて騒ぎを起こさせないためだと注する。
この記述の範囲: 台湾(高雄市の行政の説明が述べる昔の一般の喪葬習俗)
- 喪禮流程說明 PDF 4 頁「出殯」4.「出殯行列」の (03)
臺北市政府の喪葬礼儀の表は、道教では人は死後に陰間へ出頭しなければならないとされるとして、足元に供える「腳尾錢」を亡魂が地府へ向かう途中の関所を通り橋を渡るための費用と説明する。
この記述の範囲: 台湾(臺北市政府の説明)
- 臺灣傳統喪葬禮儀流程 表の項目 4「腳尾燈・腳尾錢(腳尾紙)・腳尾飯」