儀礼・実践
出殯(棺を墓所へ送り出す行列)
- 出殯
- 出山
棺を家から墓所・処理の場へ送り出す葬列。台湾では「出山」とも(研究所が参照した宜蘭の資料)。
資料の記述
華琛(Watson)は、明清期の中国の喪葬に共通する動作の一つに、音楽が遺体に伴い霊を落ち着かせることを挙げ、嗩吶の鋭い笛の音と銅鑼・太鼓の打つ音の二種が要の役を担っているらしいとし、これらの音が儀式の節目、とくに遺体を動かすときに遺体に付き添うと述べる
この記述の範囲: 明清期の中国の喪葬儀式一般(研究者の整理)
- 中國喪葬儀式的結構:基本形態、儀式次序、動作的首要性 頁109(PDF 12 頁)、動作 (7)
出殯(棺を墓所へ送り出す行列)は紙錢(冥紙・銀紙・買路錢)に関わる。蘭陽博物館の電子報は、宜蘭の出殯の行列の順番を挙げる中で、太鼓・笛の後に「放紙」を置き、道の野の魂が騒がないよう紙錢を投げ与えるものだと説明する
この記述の範囲: 台湾・宜蘭地域
- 事死如事生~漫談宜蘭地區的喪葬儀式(上)(下) (下)「4. 出殯」の段
出殯(棺を墓所へ送り出す行列)は銘旌(明旌・丹旐)に関わる。蘭陽博物館の電子報は、宜蘭の出殯では女婿・孫婿が銘旌(死者の銜名を書いた長い旗)を持つが今は紅包を渡して人に頼むとし、柩の後には子が魂帛を捧げ幢幡を持って続き、家族は布の条を持って哭きながら歩くと記す
この記述の範囲: 台湾・宜蘭地域
- 事死如事生~漫談宜蘭地區的喪葬儀式(上)(下) (下)「4. 出殯」の段
出殯(棺を墓所へ送り出す行列)は銘旌(明旌・丹旐)に関わる。中国文化大学の修士論文が『台灣私法』から引く官員の喪礼では、柩を墓へ送り出す発引のとき、先頭に旗人は丹旐、漢人は銘旌を立て、次に儀従・明器・霊車・功布・柩の轝が続き、喪主らは絰と杖を持ち喪服で、男は柩の脇を歩き、女性は柩の後から輿で従うとされる
この記述の範囲: 論文が引く『台灣私法』の官員の喪礼(発引)
- 台灣殯葬儀式之時空演變 紙面 29 頁(PDF 39 頁)冒頭の段
修士論文が引く『台灣私法』の喪礼の記述は、墓が遠いときは主人以下が素車に乗って従い、宿るたびに靈座を設けて殯にあるときと同じく奠を置き、翌日柩を出すときも同じようにする、と書く
この記述の範囲: 論文が引く『台灣私法』の官員の喪礼(遣奠・発引、墓が遠い場合)。論文は官員の部分を清代の旧習と規定の継承が多いとする
- 台灣殯葬儀式之時空演變 紙面 29 頁(PDF 39 頁)、発引の段
泉州の文史資料の記事は、泉南では一般の喪事の出殯に道士を呼んで引魂させ、出殯のとき道士は法鈴を手で振りながら「老钹鼓」の楽に伴われて棺の前を歩き、墓地では呪を唱えて作法し、埋葬の後は道士たちが魂轎の前を歩いて道々鈴を振り、魂を家へ連れ帰ると書く。そのあと魂轎の中の神主の牌を祖庁の神龕に安置するとする
この記述の範囲: 泉州南部(泉南・泉晋)の道士の喪事。記事は 1920〜40 年代を含む時期と、1980 年代以後の復活を述べる
- 泉南道士的丧事功果法事活动 「△『引魂』」の段
蘭陽博物館の電子報が挙げる宜蘭の出殯の行列の順(先導の地理師から、楽・紙錢・灯り・旗・燈籠・花車・陣頭を経て霊柩、その後に子・家族・送葬の客が続く)には、鈴を振る役は挙がっていない。道を清める「洗路」は鐃鈸を鳴らすものと注されている
この記述の範囲: 台湾・宜蘭地域の出殯の行列(林清泉の解説)
- 事死如事生~漫談宜蘭地區的喪葬儀式(上)(下) (下)「4. 出殯」の段
『勅修百丈清規』卷六「亡僧」の送亡の条は、出喪に備えて庫司が鐃鈸・鼓楽・幡花・香燭などをそろえさせ、当日は僧堂の鐘を鳴らして大衆を集め、起龕の佛事の後に行者が鈸を鳴らして龕を担ぎ山門の前まで出すと定める。この条には手に持って振る鈴は出てこない
この記述の範囲: 禅院の亡僧の葬送(『勅修百丈清規』卷六)
- 勅修百丈清規 卷第六(CBETA 電子佛典、T48 no.2025) 卷六「亡僧」送亡の条、T48n2025_p1148b18–p1148c02
王泳兴(2021)は、湘西苗族の殯葬の流れの表で、出柩では卯の刻に鑼と太鼓で哀楽を合奏してから担ぎ手が棺を運び出し、抬丧では亡くなった人の長男が「引魂旗」を持って前で礼をし、鑼と太鼓で道を開き、「买路钱」をまくと書く
この記述の範囲: 湘西苗族の殯葬(王泳兴 2021、表1。注は筆者の田野調査と聞き取りによるとする)
- 湘西苗族传统殡葬文化的现代审视 紙面153頁、表1(続)の「出柩」「抬丧」の行
王泳兴の論文(2021)は、湘西苗族の喪葬を主宰する二種の儀礼の専門家を比べる表で、巴代雄の法器に竹柝・铜铃・卦などを、巴代扎の法器に帥旗・角号・牌・印・刀槍・棍棒を挙げる
この記述の範囲: 湘西苗族の喪葬の儀礼の専門家(王泳兴 2021、表2)
- 湘西苗族传统殡葬文化的现代审视 紙面154頁、表2「巴代雄和巴代扎主持丧葬仪式区别」の「所用法器」の欄
王泳兴の論文(2021)は、湘西苗族では家に死者が出ると、もとは門の外で鳥銃を空に3発撃つか地銃を3度鳴らし、今は爆竹を鳴らして知らせ、近所の人は泣き声と爆竹(銃)の音を聞いて駆けつけ、喪事を手伝うと書く
この記述の範囲: 湘西苗族の報喪(王泳兴 2021、「社会价值」の節)
- 湘西苗族传统殡葬文化的现代审视 紙面158頁右段(「湘西苗族传统殡葬文化中,家中如有人过世」の段)
王泳兴の論文(2021)の表は、湘西苗族の「回煞」の夜には、子孫が堂に集まって供物を整え、「响声」(音)で死者の魂に帰ってきたことを知らせ、香と紙を焚いて供えると書く
この記述の範囲: 湘西苗族の回煞(王泳兴 2021、表1)
- 湘西苗族传统殡葬文化的现代审视 紙面153頁、表1(続)の「回煞」の行
教育部臺灣客語辭典の禮俗の解説「還山」は、客家の葬送で死者を山へ送る「還山」のとき、嫁一人と娘一人が孝服を着て金紙と香を持って先導し、途中で橋を渡るときは橋のたもとに赤い布で三本ずつ束ねた香を挿し、葬った翌日から三日続けて二人が山へ行き先人を連れ帰る「送火」をすると書く。
この記述の範囲: 台湾の客家(解説の書く範囲)
- 還山(禮俗、教育部臺灣客語辭典 資源PDF) PDF 1 頁、第3段
出殯(棺を墓所へ送り出す行列)は臺灣通史に現れる。『臺灣通史』卷二十三 風俗志の喪祭の節は、葬りの日に柩を移して門を出るとき、魂轎・香亭(死者の魂と香炉を載せる輿)の類をそろえ、先頭の一人が紙を撒き(放紙)、鼓楽が続き、富家は方相(悪鬼を払う神)や鬼卒の張りぼてを作って「開路神」と呼び、墓に着くと焼く、と記す。
この記述の範囲: 『臺灣通史』卷二十三 風俗志「喪祭」の節(死後、七日ごとの祭りを七度重ねた区切りの卒哭の祭りより後に葬る場合)
- 臺灣通史 卷二十三 風俗志 卷23 風俗志「喪祭」の節、「凡葬於卒哭之後者」で始まる段