モチーフ
招魂幡・引魂幡(魂幡・幢幡)
- 招魂幡
- 幢幡
- 引魂幡
- 靈頭幡
死者の名などを書いた細長い幡で、喪事に用いる。台湾の葬列で喪主が掲げて霊の前を歩くとする資料と、子が柩の後に持つとする資料がある(研究所が参照した資料の範囲)。
資料の記述
中国文化大学の修士論文は、招魂幡は多く道士に作ってもらい、出殯のとき喪主が掲げて霊の前を歩くとし、「頭尾青」の青竹に結び「幢幡」とも呼ぶとし、白布に死者の生卒・姓名を書いた「布幡」と、円形で三魂七魄の名も書く「靈頭幡」(七魄幡)があると記す
この記述の範囲: 台湾(論文が黃文博 2000・李秀娥 2006 に拠って、過去に広く行われたとして挙げる殯葬儀式の項目)
- 台灣殯葬儀式之時空演變 紙面 58 頁(PDF 68 頁)、項目 17「作招魂幡」
招魂幡・引魂幡(魂幡・幢幡)は魂帛に関わる。蘭陽博物館の電子報は、宜蘭では厚紙で魂帛(男は青、女は黄)を作って死者の名と生没年月日を書き、あわせて道・僧が招魂に使う招魂幡を作り、道・僧が霊前で読経して亡霊のために冥路を開く「開魂路」を行うと記す
この記述の範囲: 台湾・宜蘭地域
- 事死如事生~漫談宜蘭地區的喪葬儀式(上)(下) (上)「13. 豎魂帛」の段
教育部の台語辞典は「幡」を、細長く垂れ下がる旗で多く喪事に使うものと説明し、用例に「引魂幡」を挙げる。同辞典は「引魂」を、生者あるいは死者の魂を招き戻すことと説明する
- 教育部臺灣台語常用詞辭典「孝杖」「幡」「引魂」詞条 詞目「幡」(su/11010) と「引魂」(su/1141)
萌典は「幢幡」を、仏教の道場で飾りに使う長い旗とだけ説明しており、台湾の喪葬を扱う修士論文が招魂幡を「幢幡」とも呼ぶ(喪主が掲げて霊の前を歩く)のとは、説明する用途が違う
- 萌典(教育部《重編國語辭典修訂本》のデータ)「買路錢」「紙錢」「冥紙」「冥錢」「楮錢」「銀紙」「銘旌」「丹旐」「幢幡」「哭喪棒」「魂轎」「魂車」「法鈴」「寄柩」の各詞条 詞条「幢幡」
- 台灣殯葬儀式之時空演變 紙面 58 頁(PDF 68 頁)、項目 17「作招魂幡」
招魂幡・引魂幡(魂幡・幢幡)は道教に関わる。道教文化中心資料庫の「幡」の項は、幡を道教の宮観の齋醮で常に使う法器の一つとし、南宋の『上清靈寶大法』によれば初期の幡は遷神幡と回耀幡の二種だけで、隋唐期には幡の使用がかなりの規模になったとする。そのうえで『洞玄靈寶三洞奉道科戒營私』(頁の表記)を引いて、幡は21種あり、亡人のためには遷神・轉魂・度生・九天・三途などの幡を作ったと述べる
- 幡(法器) 「幡」の項「由來」の節
招魂幡・引魂幡(魂幡・幢幡)は道教に関わる。同項は『上清靈寶大法』を引いて、齋の初めに壇の近くに長い竿を立てて幡を揚げ、あまねく霊に告げて幽顕ともに見られるようにするとし、回耀幡は竿から壇の下に懸けて風に吹かせ、十方の幽魂がこれを見て一念帰依すれば罪障が消え、地獄が開け死魂が生まれ変わると記す
- 幡(法器) 「幡」の項「作用」の節