話
臨終に子の手を放さなかった宦家の婦の条(閱微草堂筆記卷10)
『閱微草堂筆記』卷十の、幼い子らの手を握ったまま目を閉じずに死んだ官吏の家の婦(宦家の婦)の話。その後も姿が家の中に見え、害はしなかったが、後妻も下働きの者も子らを粗末にできず、子らが婚嫁すると次第に見えなくなった。紀昀は子を思う心が極まって精霊が散らなかったのだろうと推し量る。
資料の記述
臨終に子の手を放さなかった宦家の婦の条(閱微草堂筆記卷10)は閱微草堂筆記に現れる。海陽の鞠庭和の話として、ある宦家の婦が、臨終に左手で幼い男児、右手で幼い女児の手を握ったまま泣いて死に、力ずくで引き離してようやく手が離れたが、目は見開いたまま閉じなかった。その後、灯の前や月の下で遠くにその姿が見えたが、呼んでも答えず近づくと消え、害はなかった。子どもたちが婚嫁すると次第に見えなくなった。
この記述の範囲: 『閱微草堂筆記』卷10、宦家の婦の条(鞠庭和の話)
- 閱微草堂筆記/卷10 閱微草堂筆記 卷10「海陽鞠前輩庭和言」で始まる条
臨終に子の手を放さなかった宦家の婦の条(閱微草堂筆記卷10)は魂魄に関わる。紀昀は、宦家の婦の姿について、狐魅が託したとする見方も一説として挙げつつ、狐魅なら人に近づくはずでそうしない点などから疑問を示し、恐らくは子への思いが極まって精霊が散らなかったのだろう、と推し量る。
この記述の範囲: 『閱微草堂筆記』卷10、宦家の婦の条の結び
- 閱微草堂筆記/卷10 閱微草堂筆記 卷10 同条の結び「或疑為狐魅所托」以下
『閱微草堂筆記』卷十の、官吏の家の婦(宦家の婦)の条は、亡くなった婦の姿は、呼んでも答えず、問うても言わず、招いても来ず、近づくと見えなくなり、ある人の前に見えているのにその人には見えないこともあって、泡や稲妻のように一瞬で消えてはまた現れた、と書く。害はしなかったが、家の誰もが亡き先妻がそこにいると思っていたので、後妻は子らを分け隔てせず、下働きの者も子らを侮らなかった。子らが婚嫁すると次第に見えなくなったが、数年に一度は現れたので、一家はいつもそばにいるかのように畏れていた、という。
この記述の範囲: 『閱微草堂筆記』卷十、宦家の婦の条の中ほど(維基文庫の翻刻)
- 閱微草堂筆記/卷10 卷十、鞠庭和の話として官吏の家の婦(宦家の婦)を語る条の中ほど