モチーフ
塀・木・梯子・水(僵屍が越えられないとされる高さと水)
僵屍から逃れる人が、塀・木・梯子の上や水の中に身を置くと、屍が追ってこられないとする話の型。清代の『子不語』正続二書に例が多く、馮藝超の論文(2007年)は、屍の体がこわばっているためだと説く。
資料の記述
『閱微草堂筆記』巻七は、医者の胡宮山が若いころ僵屍に抱きつかれかけ、高い木の梢に跳び上がって逃れ、僵屍が木の周りを跳ね回るなか夜明けまで動かずにいて助かった、という話を記す。
この記述の範囲: 『閱微草堂筆記』巻七、胡宮山の話。馮藝超論文が僵屍は塀・木・水を越えられないと分類することの、紀昀の側の一例
- 閱微草堂筆記 卷7 閱微草堂筆記 卷七、醫者・胡宮山の話
塀・木・梯子・水(僵屍が越えられないとされる高さと水)は南昌士人(子不語卷1)に現れる。『子不語』卷一「南昌士人」では、急死した友の屍に数里も追われた若者が塀を越えて倒れると、屍は塀を越えられず、塀の外から首を垂れ、口からよだれを若者の顔に滴らせていた、と記す。夜が明けて通りかかった人に薑の汁を飲まされ、若者は息を吹き返した。
この記述の範囲: 『子不語』卷一「南昌士人」第2段の末尾と第3段
- 子不語 卷1 子不語 卷1「○南昌士人」第2段の末尾(「追逐數里」以下)と第3段
塀・木・梯子・水(僵屍が越えられないとされる高さと水)は綠毛怪に現れる。『子不語』卷十「綠毛怪」では、廟に泊まった羊売りが緑の毛に覆われた怪物に追われ、古い木によじ登っていちばん高い梢に伏せると、怪物は目を見開いて見上げるだけで登れなかった、と記す。夜が明けて下りると怪物は消えていて、のちに神座の下から緑の毛の生えた屍の入った朽ちた棺が見つかる。
この記述の範囲: 『子不語』卷十「綠毛怪」第2段の末尾と第3段の冒頭
- 子不語 卷10 子不語 卷10「○綠毛怪」第2段の末尾(「販羊人緣古樹而上」の文)
塀・木・梯子・水(僵屍が越えられないとされる高さと水)は右臺仙館筆記に現れる。『右臺仙館筆記』卷六の金陵の大悲庵の話では、棺から出た白い衣の僵屍に追われた吳という塾の先生が、僵屍は溝を越えられないだろうと考えて窪地に逃げたが、屍は穴も谷も平地のように越えてきた。吳が楼に駆け上がって倒れると、翌朝、屍は梯子の途中に立ったまま動かなくなっていた。本文は、僵屍は高い所へ登るのが苦手で、夜通しかかって梯子の半ばまで来たところで夜が明け、強まった陽の気のために立ちすくんだのだろう、と推す(推しているのが誰かは書かれていない)。
この記述の範囲: 『右臺仙館筆記』卷六の一条。屍が溝を越えた場面と、梯子の上で止まった理由についての推測(語り手の言い方で、誰の推測かは明記がない)
- 右臺仙館筆記/卷06 右臺仙館筆記 卷06、「金陵小倉山後有大悲庵」で始まる段
馮藝超の論文(2007年)は、『子不語』正続二書の僵屍は体がこわばって手足の関節がよく動かないので、塀を越えられず、木に登れず、梯子を上れず、水を渡れないとし、追われた人が高い所に隠れるか水の中に身を置けば逃れられる、とまとめる。例として「南昌士人」「綠毛怪」、それに『續子不語』卷三の「犼」を引く。
この記述の範囲: 馮藝超(2007)の論文のまとめ(印刷頁206〜207)。『子不語』正続二書の範囲
- 《子不語》正、續二書中僵屍故事初探 印刷頁206〜207、「五、僵屍的能耐、畏忌及伏制方法」の(一)の1「不能逾牆、爬樹、登梯及涉水」