考え方
發塚(墓を暴く罪)
- 發塚
- 發塜
- 发冢
明・清の律で、他人の墓を掘り暴く行いを罰する条の名。棺槨が見えたか、棺を開けて屍が見えたか、などで刑を分ける。
資料の記述
發塚(墓を暴く罪)は大清律例で定められる。四庫全書本系の大清律例(提要は乾隆五年修定と書く)は、他人の墓を掘って棺槨が見えた者を杖一百・流三千里、棺槨を開けて屍が見えた者を絞(監候)、掘ったが棺槨に届かなかった者を杖一百・徒三年とし、従犯は一等を減ずる。小字の注は招魂の葬も同じとする。
この記述の範囲: 大清律例(維基文庫の翻刻、四庫全書本系)卷二十五「發塜」の律文
- 大清律例 卷二十五(刑律 賊盜下) 卷二十五 刑律賊盜下「發塜」、律文の冒頭(「凡發掘他人墳塚」で始まる段)
發塚(墓を暴く罪)は大清律例で定められる。同じ律文は、年月を経て先に崩れていた塚や、まだ殯・埋葬していない屍柩を盗む者を杖九十・徒二年半とし、そこで棺を開けて屍を見れば絞(雜犯)、器物や磚石を盗めば贓を計って凡盗に准じ刺字を免ずる、とする。
この記述の範囲: 大清律例 卷二十五「發塜」律文の第一段の後半
- 大清律例 卷二十五(刑律 賊盜下) 卷二十五 刑律賊盜下「發塜」、律文第一段の後半(「若年逺塚先穿陷」の句から)
發塚(墓を暴く罪)は大清律例で定められる。同じ律文は、他人の死屍を損ない壊したり水に棄てたりした者を杖一百・流三千里とする。注は、家や野にあってまだ葬っていない屍を焼くなどの類を指し、すでに葬ったものなら發塚で棺を開け屍を見た律により重きに従う、と書く。
この記述の範囲: 大清律例 卷二十五「發塜」律文の第三段(殘毁他人死屍)
- 大清律例 卷二十五(刑律 賊盜下) 卷二十五 刑律賊盜下「發塜」、「若殘毁他人死屍」で始まる段と小字の注
發塚(墓を暴く罪)は大清律例で定められる。同じ条の條例の一つは、衆を集めて塚を暴き棺を掘り出し、財を求めて贖わせる者を、強盗得財の律に比して首従を分けずに皆斬とする。
この記述の範囲: 大清律例 卷二十五「發塜」條例の第一条の後半
- 大清律例 卷二十五(刑律 賊盜下) 卷二十五 刑律賊盜下「發塜」、條例の第一条(「一凡發掘常人墳塚」で始まる条)の後半
發塚(墓を暴く罪)は大清律例で定められる。同じ條例は、貝勒・貝子・公・夫人らの墓を暴き棺を開けて屍を見た首犯を斬立決、従犯を皆絞立決とし、歴代帝王の陵寝や先王・名臣・前代の藩王の墓を暴いた者も同じ例で罰する。掘り出した金銀は巡撫に渡して地方官に墓を直させ、玉帶や珠宝などは塚の中に戻すとする。
この記述の範囲: 大清律例 卷二十五「發塜」條例の第二条
- 大清律例 卷二十五(刑律 賊盜下) 卷二十五 刑律賊盜下「發塜」、條例の第二条(「一凡發掘貝勒貝子公夫人等墳塚」で始まる条)
發塚(墓を暴く罪)は大清律例で定められる。同じ條例は、墓をひそかに掘る「偷刨墳墓」の従犯について、棺を開けたのが三度以上で贓と回数の確かな証拠があり事主が告発したなら、三犯竊盗の律で絞監候、二度なら烟瘴への充軍、一度なら近邊充軍とする。
この記述の範囲: 大清律例 卷二十五「發塜」條例の第五条(従犯について)
- 大清律例 卷二十五(刑律 賊盜下) 卷二十五 刑律賊盜下「發塜」、條例の第五条(「一凡偷刨墳墓為從之犯」で始まる条)
發塚(墓を暴く罪)は大清律例で定められる。同じ條例は、まだ殯・埋葬していない屍柩を盗んだり年久しく崩れた塚を暴いたりして棺を開け屍を見た者を、回数で重くし、首犯は三度で絞、従犯も三度を超えれば絞とする。
この記述の範囲: 大清律例 卷二十五「發塜」條例の第七条
- 大清律例 卷二十五(刑律 賊盜下) 卷二十五 刑律賊盜下「發塜」、條例の第七条(「一盜未殯未埋屍柩」で始まる条)
發塚(墓を暴く罪)は大清律例で定められる。同じ條例は、開棺見屍と發塚見棺の首犯の顔に「發塚」の字を刺し、未殯・未埋の屍柩を盗んだ者には「盜棺」の字を刺す、とする。
この記述の範囲: 大清律例 卷二十五「發塜」條例の第九条(刺字)
- 大清律例 卷二十五(刑律 賊盜下) 卷二十五 刑律賊盜下「發塜」、條例の第九条(「一發掘墳塚除塚先穿陷」で始まる条)
發塚(墓を暴く罪)は大明律(大明律集解附例)で定められる。大明律集解附例の「發塚」の律文も、墓を暴いて棺槨が見えれば杖一百・流三千里、棺槨を開けて屍を見れば絞、棺槨に届かなければ杖一百・徒三年と、同じ三段で刑を分ける。崩れた塚・未殯埋の屍柩を盗めば杖九十・徒二年半とする。
この記述の範囲: 大明律集解附例(維基文庫の翻刻)卷之十八「發塚」の律文
- 大明律集解附例 卷之十八 刑律 賊盜 卷之十八 刑律 賊盜「發塚」、律文の冒頭の段
發塚(墓を暴く罪)は大明律(大明律集解附例)で定められる。大明律集解附例の「發塚」には條例が一条あり、王府の将軍・中尉らの墓や歴代帝王・名臣・先賢の墓、また常人の墓を暴いた者の充軍を段ごとに定め、衆を集めて塚を暴き棺を掘り出し財を求めて贖わせる者は強盗得財に比して首従を分けずに皆斬とする。
この記述の範囲: 大明律集解附例 卷之十八「發塚」の條例
- 大明律集解附例 卷之十八 刑律 賊盜 卷之十八 刑律 賊盜「發塚」、「條例」の見出しの下の一条
發塚(墓を暴く罪)は大明律(大明律集解附例)で定められる。大明律集解附例の纂註は、律の「招鬼而葬」を、棺槨の中に衣冠や木主だけを納めて葬ったものと説き、屍が無くても屍が有るものとして論じる、とする。
この記述の範囲: 大明律集解附例 卷之十八「發塚」の纂註
- 大明律集解附例 卷之十八 刑律 賊盜 卷之十八 刑律 賊盜「發塚」、纂註の冒頭と、纂註の「其招鬼而葬者」の句
發塚(墓を暴く罪)は大清現行刑律で定められる。宣統二年の大清現行刑律の「發塚」の律文は、棺槨が見えれば流三千里、開棺して屍を見れば絞監候、棺槨に届かなければ徒三年とし、乾隆本の律にあった杖刑を書かない。
この記述の範囲: 大清現行刑律(維基文庫の翻刻)第 239 条「發塚」の律文
- 大清現行刑律 第 239 条「發塚」、律文の冒頭
發塚(墓を暴く罪)は大清現行刑律で定められる。同じ大清現行刑律の條例は、常人の墓を暴き棺を開けて屍を見た首犯を絞立決、従犯を回数にかかわらず絞監候とし、棺を見て鋸で隙間を切ったり穴を穿ったりして衣飾を抜き取り屍がまだ露わでない場合も、首犯を絞監候とする。
この記述の範囲: 大清現行刑律 第 239 条「發塚」の條例の第一条
- 大清現行刑律 第 239 条「發塚」、條例の第一条(「一、發掘常人墳塚開棺見屍」で始まる条)
發塚(墓を暴く罪)は大清現行刑律で定められる。同じ條例は、墓守として雇われただけで主従の名分の無い者が自分で墓を暴き、あるいは外の者に従って暴いた場合、死罪に当たらないものは凡人の刑に一等を加える、とする。
この記述の範囲: 大清現行刑律 第 239 条「發塚」の條例(受雇看守墳墓の条)
- 大清現行刑律 第 239 条「發塚」、條例の「一、受雇看守墳墓」で始まる条
王子今は、盗墓のいちばん基本の動機は財物を奪うことで、ほかに復讐の心や副葬品のまじないの力を求める動機もあったとし、民間の自発の盗墓と、軍や権勢の集団が組織した盗墓があったと述べる。
この記述の範囲: 王子今「发墓者诛」(博览群书、2007)冒頭の段
- 发墓者诛:历代法律对盗墓行为的惩治 本文の第 1 段(「盗墓,是渊源古远的社会文化现象」で始まる段)
同じ文は、中国の古代に盗墓が一部の地域では広くゆきわたった風習となり、一部の家族の生業、一部の社会集団の稼業にもなった、と述べる。
この記述の範囲: 王子今「发墓者诛」冒頭の段
- 发墓者诛:历代法律对盗墓行为的惩治 本文の第 1 段の中ほど(「在中国古代,盗墓曾经成为」の句)
江蘇省檔案館の記事は、1920 年に松江県で、埋葬されて間もない女性の墓が夜に掘られ、身につけた衣服が剥ぎ取られた事件で、県公署が、以前から窃盗で知られた隣人の男を棺の中の衣物を盗んだとして三等有期徒刑三年に処した(1920 年 6 月 5 日)と書く。
この記述の範囲: 江苏档案信息网 2015 年の記事(民国 9 年の松江县盗墓案の判決書にもとづく)
- 《现代快报 民国法庭记录》| “盗墓笔记”1920:一根绵绸带,三年牢狱灾 本文の小見出し「病故亲人的棺材被撬开」「邻居门口出现一根绵绸带」「棺中殓物再现村旁河滩」「无良邻居获刑三年」の各段
記事「“盗墓笔记”1920:一根绵绸带,三年牢狱灾」の点評欄は、この事件は厳密な意味の盗墓ではないが伝統の法では「发冢罪」の一種に当たるとし、「发冢罪」は清末に「发掘坟墓罪」、民国の 1928 年までは「毁掘坟墓罪」、その後は「侵害坟墓尸体罪」と呼ばれた、と書く。
この記述の範囲: 江苏档案信息网 2015 年の記事、末尾の点評欄(张镭の名が添えられた欄)
同じ点評欄の続きは、清の法は明より厳しく、同治年間の規定では常人の墓を盗めば情状により首犯は斬立決か絞立決、従犯は絞候とされた、と書く。
この記述の範囲: 江苏档案信息网 2015 年の記事、点評欄の続きの段
- 《现代快报 民国法庭记录》| “盗墓笔记”1920:一根绵绸带,三年牢狱灾 点評欄の続き(「清代法律规定比明代要严格」の句)
發塚(墓を暴く罪)は竇氏(聊齋志異第五卷)に現れる。話の末で、新たに葬られた姚孝廉(孝廉は郷試の合格者の呼び名)の娘の墓は一夜のうちに盗賊に暴かれて屍が消えており、その屍が南の家で見つかった。姚は役所に訴え、役所は南がたびたび行いが悪いのを憎んで、墓を暴いて屍を晒した罪にあて、死罪と決めたと記す。墓を暴いたのは盗賊と書かれている。
この記述の範囲: 『聊齋志異』第五卷「竇氏」第6段
- 聊齋志異 第五卷 聊齋志異 第五卷「竇氏」、「時有姚孝廉女新葬」で始まる段
發塚(墓を暴く罪)は掘塚奇報に現れる。墓荒らしの朱某の乩盤に降りた、岳王と名のる神は、墓を暴いて死人の財を取るのは盗賊より罪が重い、改めなければ斬る、と告げ、朱は驚いていったん稼業をやめたと記す。
この記述の範囲: 『子不語』卷九「掘塚奇報」第1段
- 子不語 卷9 子不語 卷9「掘塚奇報」第1段、「一日,岳王降壇曰」の文