人・神・怪異など
旱魃(ひでりを起こすとされる魃)
- 旱魃
- 魃
- 鬼魃
- 獸魃
- 格
日照りを起こすとされる存在。研究所が参照した清代の筆記には、僵屍が旱魃であるとする記述や、獣に似た魃と屍が変じた魃を分ける記述がある。
資料の記述
旱魃(ひでりを起こすとされる魃)は旱魃有三種に現れる。旱魃には獣に似るものと僵屍が変じたものがあって、どちらも日照りを起こし風雨を止めるとし、山上の旱魃「格」は特に害が大きく、人に似て頭が長く頭頂に一つ目があり、龍を食べて雨師も恐れると記す。
この記述の範囲: 『續子不語』卷三「旱魃有三種」
- 續子不語 03 續子不語 03「旱魃有三種」全文
旱魃(ひでりを起こすとされる魃)は旱魃(子不語卷十八)に現れる。或曰として、猱の形で髪を振り乱し一足で行くのが獣魃、縊死した屍が僵となって出て人を惑わすのが鬼魃で、捕えて焼けば雨を招けるとする説を記す。
この記述の範囲: 『子不語』卷十八「旱魃」後段(或曰)
- 子不語 卷18 子不語 卷18「旱魃」、「或曰」で始まる段
紀昀は、旱魃の虐は『詩』の雲漢に見え、『山海經』が女魃とするのは詩の語からの附会らしく一つの妖神にすぎないとしたうえで、近ごろ言う旱魃はみな僵屍で、掘って焼くとしばしば雨が降るとされる、と記す。
この記述の範囲: 『閱微草堂筆記』卷七、「旱魃為虐」で始まる条
- 閱微草堂筆記 卷7 閱微草堂筆記 卷7、「旱魃為虐」で始まる条の前半
紀昀は、一つの僵屍の気が天地を塞いで雨を妨げ、龍を追い払えるのかと疑問を呈し、近人の『夜談叢錄』の焚旱魃の記事を読んで疑いを記しておくとする。
この記述の範囲: 『閱微草堂筆記』卷七、同じ条の後半
- 閱微草堂筆記 卷7 閱微草堂筆記 卷7、同条の後半(「夫雨為天地之訢合」以下)
紀昀は、祟る僵屍の二種(新屍と久葬不腐)を述べたあと、或曰として旱魃はこれだとする説を挙げ、詳しくは分からないとする。
この記述の範囲: 『閱微草堂筆記』卷十、水銀による屍の不朽を論じる条
- 閱微草堂筆記/卷10 閱微草堂筆記 卷10、「道家有太陰煉形法」で始まる条の中段
『仕隱齋涉筆』の旱魃の条は、小説に魃は僵屍が化したもので一名を飛天夜叉といい、行く所は千里の赤地になると載せる、と記す。
この記述の範囲: 『仕隱齋涉筆』3「旱魃」中段(小説の記載の紹介として)
- 仕隱齋涉筆 3 仕隱齋涉筆 3「旱魃」、「又小說載」で始まる文
『仕隱齋涉筆』の旱魃の条は、諸説を挙げたあと、魃を焼く・水に投じる・刀で割くのは救旱の法ではなく、日照りは戾気が醸すもので、人が善心を発すれば和気が満ちて雨になると論じる。
この記述の範囲: 『仕隱齋涉筆』3「旱魃」後半(著者の論)
- 仕隱齋涉筆 3 仕隱齋涉筆 3「旱魃」、「要之」以下
旱魃(ひでりを起こすとされる魃)は淞隱漫錄に現れる。『淞隱漫錄』「劍仙聶碧雲」は、久しい日照りのときに、久しく仮置きされた朽ちた棺の中に全身緑の毛の僵屍がいて、蓋を開けると立ち上がり、女主人公がこれを旱魃が厲をなしているのだと言って焼かせると雨が降ったと記す。
この記述の範囲: 『淞隱漫錄』53「劍仙聶碧雲」後半の一挿話
- 淞隱漫錄 53「劍仙聶碧雲」 淞隱漫錄 53「劍仙聶碧雲」、「一歲,患久旱」で始まる段
旱魃(ひでりを起こすとされる魃)は醉茶誌怪に現れる。『醉茶誌怪』の旱魃の条は、房山の日照りで術人が西山の塚の僵屍が旱魃になったと言い、墓を開くと空の棺の傍らに、全身に一寸ほどの緑の毛が生え目が火のように赤い人のような物が臥しており、縛って焼くとまもなく大雨になったと記す。
この記述の範囲: 『醉茶誌怪』2「旱魃」
- 醉茶誌怪 2 醉茶誌怪 2「旱魃」
馮藝超論文は、旱魃は日照りを起こすと伝えられる鬼で、古籍に早くから記載があるとして『詩經』大雅「雲漢」、『山海經』大荒北經の黄帝女魃、『説文』の「魃,旱鬼也」を挙げる。
この記述の範囲: 馮藝超(2007)印刷頁203、注32
- 《子不語》正、續二書中僵屍故事初探 印刷頁203(PDF 15頁)、本文と注32
萌典(教育部の辞典データ)は「旱魃」を「旱神」とし、「魃」を旱災を起こす伝説中の鬼神と説明し、僵屍との関わりには触れない。
この記述の範囲: 萌典(moedict.tw API)「旱魃」「魃」の詞条
- 萌典(教育部《重編國語辭典修訂本》のデータ)「旱魃」「魃」「犼」の各詞条 詞条「旱魃」「魃」
『太上三洞神呪』卷一の「大木郎神咒」は、天雷・神雷・龍雷・水雷を唱えたあと、社令が妖孽の群れを撃ち、旱魃の跡を消し去るという句を置き、旱を救うのを助けよと繰り返す。
この記述の範囲: 『太上三洞神呪』卷之一 雷霆祈禱策役諸咒「大木郎神咒」
- 太上三洞神呪/1(卷之一 雷霆祈禱策役諸咒) 卷之一「大木郎神咒」の中ほど(維基文庫の編集用の本文で 46-47 行目)と末尾
仕隱齋涉筆には、旱魃(ひでりを起こすとされる魃)についての記述がある。
この記述の範囲: 『仕隱齋涉筆』卷三「旱魃」の条(維基文庫の翻刻)
- 仕隱齋涉筆 3 仕隱齋涉筆 3「旱魃」の見出しと本文
野叟曝言には、旱魃(ひでりを起こすとされる魃)についての記述がある。
この記述の範囲: 『野叟曝言』第四十九回(維基文庫の翻刻)
- 野叟曝言 第049回 野叟曝言 049、素臣が太玄に答える台詞の中段(「是即僵屍旱魃之屬」)
『醉茶誌怪』卷二「旱魃」で、西山の塚の僵屍が旱魃(日照りを起こす化け物)になったと言い当てたのは一人の術者で、墓の持ち主は掘ることを許さなかった。人々が官に訴えると、官は止められず、その術者に、もし旱魃がいなければ墓を盗んだ罪に問う、と言い渡し、術者は偽りでないと強く言い張った。墓を開くと棺の傍らに緑の毛の物がいて、焼くとまもなく雨が降った。結びでは、土地の者が、曇るたびに墓から白い気が出てすぐ晴れたと語り、作者は、術者の言葉を待たなくても信じてよいことだった、と添える。
この記述の範囲: 『醉茶誌怪』卷二「旱魃」
- 醉茶誌怪 2 卷二「旱魃」