葬送師は、小さな鈴を右手に持つ。胴は真鍮で、中で鳴る舌(ぜつ)は鉄。鈴ごとに音の高さが違い、葬送師は音を聞いて、どこの組の鈴かを聞き分ける。組は前を歩く葬送師の姓で呼ばれ、鈴の音の高さも、その組を言い当てる目じるしになる。
葬送師が鈴を鳴らすと、魂の残る死者はその呼びかけに応えて、自分で跳ぶ。魂の無い屍は応えないが、鈴の拍(鈴と足音が刻むリズム)で、しばらく動きを縛られる。間を長く置いて三度鳴らせば、屍の足は鳴らす者の方へ向く。打ち方で役が分かれ、見送るときは長く鳴らし切る一打、呼び戻すときは短く低い一打。町の中で犬をしまわせる合図は、低く、間を置いて鳴らす。
鈴は舌から傷む。舌は鉄なので、雨の夜に使ったあとは灰で磨く。舌が錆びると、鈴は列の足並みより半拍ほど遅れて鳴る。仕事の終わりには鈴の口を下にして伏せ、長くしまうときは舌に布を巻く。列を導く鈴を持てるのは、修業を始めて満五年を過ぎてから。





